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連載

続・不養生のすすめ27

将来も生産人口は減らない
柴田 博

2013年3月号

高齢社会をあつかう白書であれ、著書であれ、枕ことばのように登場するのが、・高齢人口が増加して生産人口が減る”というキャッチフレーズである。高齢人口が一%ふえると生産人口が一%減るかのごとき危機感をあおっているのである。これと同根のものに、「かつては四人の生産人口が一人の高齢者を、今は二・五人で一人を、将来は一人で一人を支えるようになる」というコピーがある。将来の像を肩車型などとまことしやかに表現している著作もある。

 しかし、いかに巧みに表現しようとも、この発想は、エイジズムと人口学の操作の偏りにもとづく間違いなのである。筆者の結論を先に述べておく。左下の図に示したように、生産人口は、生産人口を二十~六十四歳にしようが、十五~六十四歳にしようが全人口の中の割合でみるかぎり、将来も激減することはないのである。

 この肩車型の発想が生まれる人口学的な誤りは、非生産人口(従属人口)の中に、〇~十四歳の年少人口を入れていないことである。生産人口を分母にすることはここでは是としよう。しかし、分子、つまり、支えられるとする人口に高齢者のみをカ・・・