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社会・文化

《日本のサンクチュアリ》防衛省情報本部

中朝と対峙する「闇の中の組織」

2013年3月号

 東京都新宿区市谷本村町の高台に林立する防衛省庁舎は、日本古来の建築「伽藍様式」で、A~E棟まで五つのビルが林立する。この中で入り口から厳重にロックされ、特別の磁気IDカード所持者だけが入館できる建物がC棟、防衛省情報本部である。北朝鮮の弾道ミサイル発射や核実験、そして尖閣諸島をめぐる中国の動向など防衛に関する情報を集約し分析する任務という以外、実態はほとんど知られていない。闇に包まれる組織と諜報活動の内実を追った。

背後で米軍が仕切ってきた


 まず、防衛省情報本部の概要を紹介したい。要員は約二千三百人で、日本最大の情報組織である。内訳は自衛官が八割、事務官は二割。一九九七年の発足当初は一千五百人強で、毎年人員を増やしている。定員削減が主流の行政機関にあって極めて異例だ。英語名はDefense Intelligence Headquarters(DIH)。名称から分かるとおり、単なる情報収集ではなく、これを分析し戦略を練る諜報機関と言った方が正確である。その役割を端的に言えば、電波・画像に加え、防衛省の別の機関や外・・・