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WORLD

アフリカ利権で 共闘始めた米仏

米中本格対立の幕開け

2013年4月号

 一月のフランス軍マリ侵攻をきっかけに、アフリカの地勢図が水面下で変化し始めている。従来であれば考えられないほどの米仏密着が進んでおり、フランスの弱体化に乗じて、米国は一気に軍事面でのプレゼンスを増している形だ。米国の視線の先には当然、中国があり、アフリカ大陸を舞台とした米中のにらみ合いは新たな局面に入った。  二月、米国はサハラ南縁の内陸国、ニジェールの首都ニアメに偵察用無人機・リーパーを運用する約百人の部隊を派遣することを決めた。加えて、米軍はこの国へ特殊部隊を送り込む方針も既に決定している。  ニジェールという国に米軍が送り込まれること自体が重大な事件だが、日本では見落とされている。 弱体化するフランス  マリ北部で跋扈するトゥアレグ族を中心とするイスラム武装勢力掃討のために、フランスが侵攻したのは今年一月。その二週間後、フランスは密かに隣国ニジェールに一千人規模の特殊部隊を送り込んでいる。場所は同国北部。世界有数のウラン産出国として知られるニジェール北部には、仏原子力産業の基幹企業であるアレバ社が所有する二つのウラン鉱山があり、世界第三位の・・・