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政治

外務省が温め続ける「核武装論」

北朝鮮の核実験で再燃か

2013年4月号

「米国には『二〇〇六年の悪夢』の記憶がいまだに強く残っている」  防衛省関係者の一人はこう語る。〇六年十月、北朝鮮が初めての核実験を行った。しかしこの関係者の語った「悪夢」とはこの実験のことではない。その約一カ月前、九月に日本政府によってまとめられた「核兵器の国産可能性について」という一編の内部調査がある。これが北朝鮮の核実験とは別の意味で米国に衝撃を与えた。  今年二月に北朝鮮は三度目の核実験を行ったが水面下では日本を警戒しているという。背景に、霞が関、それも外務省が密かに連綿と温め続けてきた「核武装論」があることは知られていない。

死守したい「外交カード」

「米国は相当ナーバスになっていた」  ある政府関係者は今年二月の北朝鮮による核実験と、その後の米国の対応についてこう語った。実験後の十四日、米大統領オバマは首相、安倍晋三との電話会談で「核の傘による抑止を含め、米国の対日防衛コミットメントは不動であると明確に再確認したい」と語気を強めた。  これが、日米安全保障条約の履行を再確認すると同時に、日本の核武装を牽制するものだ・・・