トヨタがデザイン戦略で迷走
社内に蔓延する危うい「お追従文化」
2013年4月号
「これからの自動車は、これが欲しいと思わせるデザインが重要になる」―豊田章男社長の大号令の下、高級車で始まったトヨタ車の「デザイン改革」が早くも方向転換を余儀なくされている。トヨタ自動車の最高級ブランド「レクサス」のフロントグリル(先端部分)のデザインが変更されることになったのだ。
レクサスのフロントグリルといえば、同社初のブランド統一デザインとして二〇一二年一月に発売したセダン「GS」から本格導入された。が、一三年二月にトヨタ側から「レクサスの次期モデルでは統一デザインに固執しない」と一部メディアにリークされ、小さく報道されている。「広報やデザインなど派手なことが大好き」と言われる章男社長が陣頭指揮をとったデザイン改革の「勇み足」といえるが、実は経営戦略の「細部」におけるこうした失敗やその対応こそ、いまのトヨタが抱える深刻な「病巣」を浮き彫りにしている。