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連載

西風 383

「ハコモノ重視」橋下市長の豹変

2013年4月号

 大阪市内で美術館構想が乱立している。ストップしていた新設計画が二月中旬に再び動き出した市立近代美術館のほか、大阪府庁舎や府立中之島図書館を美術館に転用する計画も検討されている。

 市内には公立だけで七カ所の美術館・博物館があり、すでに飽和状態。市議会からは「財政再建に取り組んでいるのに、どこにそんなカネがあるのか」と疑問の声が上がり、旗振り役の橋下徹市長に向けられる視線は厳しい。

 市立近代美術館の整備予定地は、市役所近くの中之島地区にある。今は空き地(約一・六ヘクタール)のままだ。

 整備計画は一九八九年の市制百周年記念事業として計画され、土地は美術館の建設を条件に国から約百六十億円で購入。しかし、市の財政難で建設費が賄えなくなり、計画は暗礁に。収蔵品として巨費を投じたモディリアーニの「髪をほどいた横たわる裸婦」(十九億三千万円)やダリの「幽霊と幻影」(六億七千八百万円)など名画の数々は倉庫に眠ったままだ。

 国との契約で、市側が今年三月末までに美術館建設を決めなければ、最大四十八億円の違約金を・・・