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経済

世界で進む「LNG離れ」

日本の「高値掴み」が一層深刻に

2013年6月号

 五月十七日、米国エネルギー省がシェールガスを原料とした液化天然ガス(LNG)の対日輸出を許可した。テキサス州フリーポートのLNG権益を持つ大阪ガスなどは、安価なLNG購入に安堵の色を浮かべているが、諸手を挙げて喜んでなどいられない。その裏では、電気料金値下げを期待する多くの企業、国民が愕然とするような深刻な事態が進行している。  四月中旬、米国テキサス州ヒューストンで、天然ガス業界における世界最大の国際会議「国際LNG会議」が開催された。LNGの需給見通し、価格交渉をはじめとした様々な意見交換が繰り広げられる場とあって、世界約八十カ国の石油企業、産油国政府幹部、都市ガス会社のトップが集まった。ところが、あろうことか、世界最大のLNGの買い手である日本の電力会社において、参加した企業は中部電力の一社のみだった。  本来、一ドルでも安くLNG購入価格を抑制すべき電力会社が、LNGの価格体系を議論する国際会議に出席さえしないとは、どういうことか。ここから見えてくるのは、世界のエネルギー情勢から著しく乖離した日本の「特異」なエネルギー事情と強欲な電力会社の「本音」、そしてメジャー・・・