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政治

《政界スキャン》

小沢一郎とは何だったのか

2013年7月号

「小沢一郎もついに普通の人になった」

 麻生太郎財務相がある会合でこう言ってのけたが、なかなか上手い言い方ではないか。日本を「普通の国家」にすることを目標に、普通どころか尋常ならざる政局仕掛け人として、この二十年間永田町を騒がしてきた人物がいまや、その任を終えた。

 かつて、小沢を「オズの魔法使い」に例えたのは誰だったか。おどろおどろしい大魔王が、衝立の裏を覗くと、実は椅子に乗って自らを大きく見せていた普通のオジサンだった、という現実をドロシーたちが目撃してしまう話である。

 何も小沢をそこまで貶めることもあるまいが、メディアから取材があればいそいそと応じ、満面の笑みで歓心を呼ばんとする最近の小沢を見ていると、あの記者団をねめつけるような傍若無人、傲岸不遜な時代が懐かしくなるから不思議である。

 確かに、衝立の向こうには、小沢の衰亡を象徴する出来事があちこちに見えてきた。

 まずは、永田町。小沢が党首を務める「生活の党」は、衆議院七、参議院八の計十五人の勢力。民主党を割った時の・・・