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経済

《クローズ・アップ》村山 滋(川崎重工業新社長)

「クーデター」成功も展望開けず

2013年7月号

 メーンバンクのみずほコーポレート銀行(CB、現みずほ銀行)も準メーンの三井住友銀行(SMBC)もまさに「寝耳に水」(CB幹部)だったらしい。それどころか、長谷川聰前社長らからは内々に「交渉は水面下で着々と進行中」との報告を受けていただけに、両行の受けた衝撃と憤りは大きい。

 三井造船との経営統合交渉をめぐって経営陣が分裂、株主総会を目前にして統合推進派の経営トップが突然解任されるという異例の造反劇を演じた川崎重工業。長谷川氏は六月二十六日付で取締役も退任、後任には今回のクーデターのシナリオを書いたとされる大橋忠晴会長や松岡京平常務(いずれも肩書は当時)に推される形で、村山滋常務が昇格した。

 新社長となった村山氏は造反劇直後に佐藤康博みずほフィナンシャルグループ社長兼CB頭取を訪ね、「引き続きメーンとしての支援をお願いしたい」と頭を下げたとされるが、周辺筋によると、佐藤氏は「説明に頷きながらも終始、憮然とした表情だった」という。

 それにも増して怒り心頭なのが、統合交渉の相手だった三井造船のメーンでもあるSMBCだ。統・・・