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社会・文化

「アメリカズカップ」最近事情

海洋国家日本が「退場」した理由

2013年7月号

 世界最高峰のヨットレース、アメリカズカップは今、日本がまったく想像の及ばないところへ向かいつつあるようだ。 「そのうちアメリカズカップも毎年やるようになるのでは」  そう予想するのは、世界で活躍するセーラーの谷路泰博だ。 「F1みたいに年間を通して世界各国を転戦する。しかも観客が見やすいよう、観客席のある楕円形のコースを何周も回るようになるかもしれない。アメリカズカップの定義って何なの?ってなっちゃいますけど、ビジネスとして成り立たないと続かないですから」 バブルのあだ花  今年九月、第三十四回アメリカズカップ(以下、AC)がサンフランシスコで開催される。ACは今大会から「カタマラン」と呼ばれる双胴船を統一規格として採用する。ハイテクを駆使した小型の高速艇だ。  従来のモノハル(単胴船)とカタマランでは、乗り心地も乗り方もまったく異なる。谷路が言う。 「カタマランは空中を浮いているような感じで、スピードもぜんぜん速い。乗船技術を会得するには一からやり直す必要がある」  七月十三日からいよいよAC予選のルイ・ヴィトンカッ・・・