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政治

参院選最大の敗者は「メディア」

安倍に「完全屈服」したテレビ・新聞

2013年8月号

 第二十三回参院選は自民党の大勝に終わった。首相安倍晋三は悲願の衆参ねじれ国会解消を実現した。しかし、自民党内にすら高揚した圧勝感はひとかけらもない。渾身の力を込めて勝利をもぎ取った選挙ではないからだ。あえて勝因を挙げるならば「敵失」と「徹底した守り」―。これに尽きる。  敵失は言うまでもなく民主党の自滅と、日本維新の会とみんなの党の“仲間割れ”だ。とりわけ民主の自滅は目を覆うばかりだった。本来なら参院選の主戦場となるはずの一人区で自民候補が独走。民主党を含む野党各党は定数二以上の複数区に照準を合わせたが、野党同士が星の潰し合いを演じた。自民党に労せずして勝ちが転がり込んだ。  こうした状況を背景に自民党は「守りの選挙」を徹底した。安倍は選挙期間中にしばしば一九九八年の参院選を引き合いに出した。その選挙は事前に自民優勢が伝えられながら、首相橋本龍太郎(当時)の恒久減税をめぐる発言の迷走と、複数区での強気の「二人擁立」によって惨敗した。東京ですら共倒れの憂き目に遭った。埼玉、神奈川(現四人区)、愛知の三人区でも獲得議席はゼロ。この反省から今回は徹底的に候補者を絞った。最終的に・・・