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社会・文化

「ペテン師」だらけの東大医学部

止まらない論文捏造の「連鎖」

2013年8月号

 日本医学界の最高権威、東京大学医学部の信用が地に堕ちようとしている。  先日、東大分子細胞生物学研究所(分生研)の加藤茂明元教授らの不正行為に関し、東大が行った予備調査の結果が明らかとなった。  加藤研究室(加藤研)が発表した百六十五本の論文中、五十三本で問題が指摘され、そのうち四十三本で改竄や捏造が確認された。論文のテーマは、骨代謝から肥満まで多岐にわたり、『セル』や『ネイチャー』などの海外一流科学誌で発表されたものも多い。  日本を代表する研究室が、大量の論文を捏造していたことになる。一握りの不心得者が、出来心で不正を働いたわけではなく、組織的な不正行為だった可能性が強い。東大名誉教授の一人は「東大史上、最悪の不祥事」と頭を抱える。 全ての論文に何らかの細工  事件の発端は、二〇一一年末、東大に寄せられた外部からの告発だ。予備調査報告書を読んで驚くのは、不正の構図が複雑であることだ。加藤元教授の指示のもと、研究室をあげてデータを捏造した、という単純な話ではない。むしろ、論文捏造を主導したのは、北川浩史助手(当時)など、研究室の一部の・・・

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