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「迷惑国家」カザフスタンの異常

独裁政権が資源マネーで「悪行三昧」

2013年8月号

 中央アジアの資源大国カザフスタンが、国際政治で迷惑度を増している。旧ソ連崩壊前から、ヌルスルタン・ナザルバエフ大統領の統治が四半世紀続いているが、独裁政権のほころびが西欧に飛び火している上に、資源でぼろもうけをしたカザフ版オリガルヒたちが、世界各地に触手を伸ばしている。 米欧指導者がカネに群がる  ローマのカサル・パロッコは、何度も映画の舞台になった高級住宅地だ。今年五月二十八日の深夜、黒ずくめの屈強な男たち約五十人が、ある住宅を急襲した。  イタリアの特殊部隊が乱暴に扉を叩く。おびえて応対した若い女性は、アルマ・シャラバエワ。ナザルバエフの政敵で英国亡命中のムフタル・アブリャゾフの妻だ。男たちは家宅捜索の末、アルマと彼女の親族を連行した。  アルマは後に文書で、「男の一人はマフィアのような風体で、私を『ロシアのあばずれ』と罵った」と明らかにした。彼女は拘置所で二日間尋問された後、チャンピーノ空港で生後六カ月の娘と再会した。母娘は「豪華な特別機」(アルマ)でカザフスタンに連れ戻された。  アブリャゾフは、「妻と娘を誘拐して、人質にとった・・・