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政治

《土着権力の研究》佐賀県 岸本組

再稼働のカギ握る「原発利権」の本丸

2013年8月号

 七月二十一日に行われた参議院議員選挙。佐賀選挙区から立候補した自民党の新人、山下雄平は二位の民主党候補に十四万票以上の差をつけて勝利した。選挙期間中、県内をくまなく回った山下は、原子力発電所再稼働について街頭演説などでほとんど触れなかった。日本経済新聞記者から転身した三十三歳の山下は、玄界灘に面した唐津市出身。平成の大合併で沿岸町村を吸収した後も、唐津市に囲まれるようにいびつな形で存続しているのが玄海町だ。同町は九州電力の原発四基を抱えている。地元紙記者はこう語る。

「山下さんは原発の話題を避けていたわけではない。再稼働は既定路線だから話すまでもなかった」

 参院選期間中の七月八日、全国四電力会社が五原発十基の再稼働を原子力規制委員会に申請した。四日遅れの十二日、九電は佐賀の玄海原発3、4号機の再稼働を申請している。全国紙などでは「揺れる地元自治体」という報道がされたが、実態は異なる。「特に佐賀、玄海町は再稼働で一貫してブレない」(前出記者)。九電とタッグを組み再稼働にむけて邁進しているのが佐賀県と玄海町なのだ。

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