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経済

「緩和縮小」に怯える米国市場

囁かれる「第二のブラックマンデー」

2013年9月号

「あのジョージ・ソロスが株価大幅下落を予見して、大量のプット(売る権利)を買った。個々の銘柄では最近、アップルなどを買って成功している当たり屋中の当たり屋が、株式市場の大暴落への対策を始めたということだ」  旧知の金融市場関係者が、市場の関心を集めるソロス氏の動向を伝えてくれた。昨年十一月、「アベノミクス」を好感して円売り・日本株買いを敢行、三カ月間で約十億ドルの巨利を得たとされるあの「ヘッジファンドの帝王」が、今回は「緩和縮小(テイパリング)」でNYダウの大幅下落を予想した行動をとり始めたというのだ。  ソロス氏だけではない。著名な投資家であり、投資情報紙「バロンズ」の市場見通し欄に必ず顔を出すマーク・ファーバー氏も最近、「暴落説」を唱え始めている。  先ごろテレビ出演したファーバー氏は、「一九八七年十月の、一日で二三%も下げたブラックマンデー直前の状況と酷似している」と、現在の株式市場の分析を述べた。  同氏は「ドクター・グルーム(陰鬱博士)」の愛称で呼ばれる弱気な観測で有名な相場の達人だが、八七年と状況が酷似しているとみる理由は主に三つ。・NYダウは上昇し・・・