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政治

《土着権力の研究》高知県 ミタニ建設工業

「強靭化特需」を狙う談合の仕切り役

2013年9月号

 今年一月、高知県内の土木工事をめぐる官製談合問題で国土交通省四国地方整備局は、地元建設業者三社に営業停止命令を出した。公正取引委員会から談合を摘発され、県内最大手の建設会社「大旺新洋」(高知市)の一億六百六十万円に次いで、五千四百十二万円の課徴金支払いを命じられたのが「ミタニ建設工業」(高知市)であった。このミタニ建設の三谷一彦社主(昨年九月辞任)こそ、談合の「仕切り役」として地元建設業界に君臨する高知県の土着権力と言っていい。

 二〇〇八年五月に高知県建設業協会の会長に就任した三谷氏は、国交省四国地方整備局の幹部らに「贈答品」などを贈る一方で、入札価格や業者の技術力情報などを聞き出し、本命業者を事前に決める受注調整(談合)を主導していたとされる。この官製談合が今回、公取委によって摘発・認定されたというわけだ。

県内に長く蔓延る「土建政治構造」

 自民党が多数派を占める高知県議会で、談合問題を追及してきた米田稔県議(共産党)はこう話す。「公取委が問題にして指名停止となったのは三十七社だったが、『地元経済へ・・・