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社会・文化

「原子力規制委」も役立たず

当事者能力なき「烏合の衆」

2013年10月号

 反原発派いわく「危険な原発を許す原子力ムラの代弁者」。一方の原発推進派は「原発行政を遅滞させる元凶」と批判する。  九月十九日に発足一年を迎えた原子力規制委員会に対する意見は極端に二分される。一つの組織でありながら、これほどまでに正反対の批判を浴びる規制委に日本の原発政策の矛盾が凝縮されている。反対派と賛成派、両者の落としどころを探った結果、規制委は歪んだ組織になった。当事者能力は欠落し、日本の原発は以前よりむしろ危険になっている。  昨年九月に規制委が発足して以降、規制計画策定以外に取り組んできた問題は大別して二つある。原発の安全審査と福島第一原発事故への対応だ。今夏、最大の問題となったのは後者だろう。 「アンダー・コントロール」  九月七日、東京招致が決まった、国際オリンピック委員会(IOC)総会で、安倍晋三首相は福島における放射能汚染水問題についてこう発言し世界の失笑を買った。  そもそも汚染水漏れが発覚したのは今年四月であり半年以上も収束せずに悪化の一途を辿っている。東京電力関係者はこう語る。 「我々が弥縫策に終始しているのは事実だが、規制委と・・・