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社会・文化

「北の王者」ヒグマに異変

肉食化で冬眠しなくなった

2013年11月号

 錦繍にも例えられる北海道の秋。大陸性気候による寒暖の差が、木の葉を鮮やかな赤や黄の彩りに変える。ミズナラやクルミの実はぽとりぽとりと地に落ち、翼がついたカエデの実は軽やかに風に舞う。生きるものすべてが、来るべき厳冬に備えて飽食と貯食に忙しい。

 最も体が大きいヒグマも例外ではない。「肉食目のベジタリアン」と言われるその食性は、冬眠に耐える脂肪と体力を秋の実りに深く依存する。ミズナラの巨木の下では、ヒグマが噛み砕いたドングリの殻が散乱し、コクワ(サルナシ=キウイに近いツル植物)が鈴なりのトドマツの幹には、よじ登った生々しい爪跡が残される。


ヒトを襲うわけではない

 今秋、北海道庁は「ドングリが不作なので、ヒグマに用心を」という警報を出した。山には数多くの食べ物があり、豊凶の波はいくつも重なるので、「腹がすいたから里に出る」というほど単純ではない。それでも最近増えている警戒心の薄いヒグマが、人と遭遇する可能性は確かに高い。

 ヒグマたちは通常、山が根雪に覆われる十一月下旬ごろ・・・