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連載

本に遇う 連載 167

初心忘るべからず
河谷史夫

2013年11月号

 電波のコメンテーターにはいい加減なのが多いが、ラジオで「トウデンのハジョウ」と言うのがいた。トウデンは東電として、ハジョウとは何だろう、ああ破綻のことか、と気づいた。破綻の「綻」を「ジョウ」と発音したのだ。

「頭っ」を「あたまっ」と叫んだり、「戦場」を「せんば」と読んだりの役者がいたというのはお笑い草だが、しかし時事解説者がまともに字を読めないようでは、偉そうな御託宣も台無しである。

 これもラジオで「ニュースの職人」というのを知った。『ニュースの天才』という外題のアメリカ映画で、「天才」は記事捏造の常習者だったが、はて「ニュースの職人」とは何者だろうと怪しんでいたら、鳥越俊太郎という人が出て来て何やら感想を喋っている。

 鳥越と言えば毎日新聞出身の「ジャーナリスト」である。テヘラン特派員や『サンデー毎日』編集長を経て、テレビのキャスターになり、「桶川女子大生ストーカー殺人事件」に絡んで新聞・放送界が仲間内で出している「日本記者クラブ賞」というのを受賞。取材対象は、自らの癌にも向けられ、テレビで公開してみせたとある。{・・・