米国が揺さぶる国際原油市場
シェールオイル輸出で価格体系激変
2013年11月号
欧州信用危機の長期化と中国経済の減速によって、十月に発表された国際通貨基金(IMF)による世界経済見通しも下方修正が続いている。にもかかわらず、原油価格はこの十月下旬時点で、国際指標原油である北海ブレント原油価格が一バレル百十ドル近辺と、二〇一一年初頭の「アラブの春」を契機として、二年半にわたって歴史的な高止まりを続けている。
この異様なまでの原油価格の高値推移を、中東産油国を中心とした石油輸出国機構(OPEC)はもろ手を挙げて歓迎している。アラブの春により不安定化する国内情勢を抑制するため社会保障の負担は増し、いまや中東産油国の財政を均衡させる原油価格は一バレル八十ドル以上に切り上がっている。こうした中では、現在の原油価格水準はOPEC首脳にとっていわば譲れない一線である。
しかし、その一方で国際原油市場ではいま、水面下で原油価格体系を大きく揺さぶる事態が進行し、OPEC諸国の心胆を寒からしめている。それは、欧米国際石油資本(メジャー)と米国政府との間で密かに進む、シェールオイル輸出への動きだ。
早ければ一四年夏にも解禁か
米国のシェ・・・