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政治

血税吸い込む「汚染水特措法案」

「際限なき国費投入」に道を開く

2013年11月号

 宰相が国際社会に発した「嘘」を「実」に変え、ゾンビ会社延命のために血税を注ぎ込む法案の準備が自民党内で進んでいる。党資源・エネルギー戦略調査会長の山本拓が手がけている「汚染水特別措置法(仮称)案」だ。東京電力福島第一原子力発電所から漏れ出す汚染水の封じ込めを、東電ではなく、国の直轄事業として行えるようにするという内容である。 「嘘」とは、首相安倍晋三が九月の国際オリンピック委員会(IOC)総会で汚染水問題について「状況はコントロールされている」と述べたことだ。二〇二〇年夏季五輪・パラリンピックの東京招致の決定打になった発言である。その後、東電の技術顧問が異論を口にし、発言の妥当性への疑義が浮上した。政権は「貯水タンクからの汚染水漏洩など個々の事象は発生しているが、福島近海での放射性物質の影響は、発電所の港湾内の〇・三平方キロメートル内にブロックされており、全体として状況はコントロールされている」と繰り返す。そればかりか、東京五輪までの汚染水問題の収束を事実上の国際公約としている。 「結局は東電救済策」  原発直下を流れる大量の地下水、日本列島を直撃・・・