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社会・文化

日本こそ「外国人差別大国」

水鳥真美(セインズベリー日本藝術研究所総括役所長)

2013年12月号

―日本人の外国人差別への取り組みは遅れていますか。

 水鳥
 在日韓国・朝鮮人への口汚いヘイトスピーチが一部で深刻化しているが、実は問題の根はそこではない。自らを善良な市民だと考え、そうした差別主義者に対して眉をひそめる多くの日本人が潜在的に差別意識を持っていること。さらにいえば、そうした差別の存在に気付かず、対策を講じていないことが最大の問題だ。日本人は、人種、性別、セクシャリティなどあらゆる差別を放置し続けている。欧州や米国では、差別の存在を認め、その対処に社会全体で取り組んできた。


 ―英国ではどのように人種差別と闘ってきたのですか。

 水鳥
 戦後の労働力不足から英国は主に英連邦構成国のカリブ海諸国や南アジアからの移民を受け入れ、これが白人と非白人の衝突に繋がった。差別に苦しめられた移民の不満が溜まり、一九八一年には各地で大規模暴動が起きている。こうした中、英国は六〇年代から徐々に差別を禁止する法律・制度を作ってきた。告発窓口が整備され、行政でも企業活動でもあらゆる差別が徹底的・・・