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経済

《クローズ・アップ》三木谷浩史(楽天会長兼社長)

政商になりそびれた「お子ちゃま」経営者

2013年12月号

「薬の問題はもう決着していること。最初から予想していた通りの展開だよ」。医薬品のネット販売の是非をめぐり、三木谷浩史・楽天会長兼社長が「産業競争力会議」の民間議員を辞任するとの方針を一転して撤回した直後、甘利明・経済再生担当大臣は余裕の表情で周囲にこうつぶやいたという。

 甘利は十一月十九日の定例記者会見でも「三木谷さんから『辞退を辞退する』というお話が来たようでございます」と嫌みたっぷりに答弁。「私は当初から何もお辞めになる必要はないと申し上げていた」と繰り返す担当大臣の姿は、ちゃぶ台返しをしようとした三木谷に対して退路を断たなかった政権側の「大人な対応ぶり」をアピールすると同時に、「政権として重用するには、三木谷は器が小さすぎるとの烙印を押した」(政府関係者)ものとして受け止められた。

 三木谷にとって、第二次安倍内閣の誕生は間違いなく大物財界人の仲間入りをする千載一遇のチャンスだったはずだ。日本興業銀行勤務を経て独立後、ネットベンチャーの旗手となった三木谷は二〇一〇年にネットビジネス各社と業界団体「eビジネス推進連合会」を創設。会長とし・・・