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WORLD

破綻国家パキスタンの危険

核保有国であることを忘れるな

2013年12月号


 十一月一日、アフガニスタン国境に近い部族地域で米国の無人攻撃機が、パキスタンタリバン運動(TTP)のメスード司令官を攻撃し死亡させた。この死をきっかけに、パキスタン国内の不安定化はこれまで以上に拍車がかかる。さらにパキスタン国内でのアフガニスタン・タリバン(以下タリバン)の重要人物の暗殺が加わったことで、米国のアフガン撤退を前に、パキスタンを震源とする「真の不安定化」が始まる。



TTP司令官交代でテロ激化

 十一月七日、TTPは死亡したメスード氏に代わる新司令官としてファズルラ氏を選出した。パキスタン軍関係者が語る。
「考えうる中で最悪の選択。TTPによるテロが急増するだろう」

 ファズルラ氏はパキスタン北西部のカイバルパクトゥンクワ州のスワト出身。二〇〇七~〇九年にかけてスワト地区で暴虐の限りを尽くし、住民を恐怖に陥れたことで知られる。「反イスラム教」とのレッテルを貼った人間を殺害したうえ、同地区中心部のミンゴラで遺体を電柱に吊るしていた。
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