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米国「最強時代」は続く

フランシス・フクヤマ(スタンフォード大学上級研究員)

2014年1月号

 ―防空識別圏問題で米中は、つば競り合いを始めました。世上では米国衰退論も囁かれ始めています。

 フクヤマ パワーを何で測るかにもよるが、少なくとも軍事力では米国は今もずば抜けてパワフルだ。それを展開する力を見ても、米国は自国から遠く離れた中国近海にまで空母と原子力潜水艦を展開する力があり、この分野での中国との差は歴然だ。今回の防空識別圏問題でも、米国は戦略爆撃機B52を即座に派遣したが、中国は手を出せなかった。米国衰退論の是非を考えるうえで重要なのは、軍事力それ自体よりも、政治的な意志の問題が大きいということだ。

 ―政治的意志さえあれば、中国といえども米国に敵う国ではないと。

 フクヤマ そのとおりだ。ヘルスケア政策と国内の景気回復に力点を置いているオバマ政権にとっては、外交は二次的な問題に過ぎない。政治的意志が外交、軍事に向かえば、たとえ近年軍事力で膨張する中国を前にしても、米国の・・・