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社会・文化

日本人に染み込む「集団腐敗体質」

新谷尚紀(国立歴史民俗博物館名誉教授)

2022年8月号

 ―「日本人」とはどう定義され、どんな特徴を持つ民族ですか。

 新谷 日本人というのは地理的、歴史的、主観的概念が複合的に組み合わさり定義されるもので一概には言えない。ただ、「稲作を基盤とした国民」という特徴がある。紀元前から始まった稲作が、長い時間をかけて三世紀ごろには古墳国家が成立した。米は美味く、米から造る酒も魅力的だった。稲作は狩猟と異なり、総合的な経営をしなければならない。そのため、「集団的な行動が第一」という考えが日本人に刷りこまれた。組織の中で目立たずに我慢すれば、盆や正月、収穫後に楽しい思いができる。そういう考え方を社会の基本にしてきた。そして、長かった武家社会の時代に、統治機構に組み込まれることを是とする意識も根づいた。

 ―現在の日本は様々な問題に直面していますが、多くの日本人はそんなに騒ぎません。

 新谷 感覚的な言い方になるが日本人には危機感がない。そして、現在の政治家に問題があっても、対案を出して前に進むのではなく、なんとなく「・・・

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