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米中は「新しい関係」構築へ

日本はもはや最重要国ではない

2014年1月号特別リポート

 中国の国民党と共産党との内戦を大きく転換し、対日統一戦線結成をもたらしたのは一九三六年の西安事件だ。この歴史的なできごとをスクープした戦前の同盟通信社上海支局長の松本重治(国際文化会館初代館長)が、日本と米中両国とのかかわり合いを実体験で観察した結果得た結論は、「日中関係は日米関係だ」という平凡な論旨だ。

 世界が共存共栄する理想が実現しないかぎり、この三国は鼎立、日米対中国、日中対米国のいずれかの関係で平和の維持に努めるしかない宿命にある。

「防空識別圏設定」でも日米で温度差

 中国は去る十一月二十三日に突如として尖閣諸島やガス田(白樺、翌檜)を含めた東シナ海に防空識別圏(ADIZ)を設定すると公表した。ADIZ自体はいずれの国も領空侵犯を防ぐため領空の外側の公海上などに設定する措置なので目くじらを立てることはない。が、ADIZは中国国防省が管理し、圏内を飛ぶ飛行機が指令に従わないときには、「中国軍は防御的緊急措置を取る」というのだから穏やかではない。日米両国は一致して中国に強硬な対応をした。バイデン米・・・