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経済

石油メジャーに凋落の気配

日本のエネルギー戦略は重大な岐路に

2014年1月号

 米国から始まった百五十年を超える石油産業の歴史においても、例を見ない高値推移を続ける国際原油価格の恩恵によって、エクソンモービル、シェブロンをはじめとした国際石油資本(メジャー)は、史上最高レベルの好決算を謳歌している。  エクソンモービルの二〇一二年の純利益は、四百四十八億ドル(約四兆六千億円)と、原油価格が七月に瞬間的に史上最高値を記録した〇八年の四百五十二億ドルに並ぶ水準まで拡大している。その他シェブロン、ロイヤル・ダッチ・シェル、BPといったメジャーも、〇八年に匹敵する高水準の利益に酔いしれている。  しかし、そうしたわが世の春を謳歌し続けるメジャーに密かに「凋落」の影が忍び寄っていることを知らないエネルギー関係者も多い。 油田開発の権益が次々と剥落  エクソンモービルをはじめとしたメジャーは、実際の利益の八割程度を石油の開発・生産という「上流部門」で稼いでいる。逆に石油の精製・販売部門である「下流部門」は競争が熾烈で、メジャーにとっても儲からない事業部門である。中国、中東において巨大な製油所が次々と建設され、世界的に石油精製・・・