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社会・文化

非正規労働者「使い捨て」が合法化へ

政官財一体で目論む「派遣法改悪」

2014年2月号

「正社員ゼロ法案」―。労働問題に関わる人たちの間で、奇妙な呼び方がされている法案の準備がいま水面下で進んでいる。厚生労働省の労働政策審議会(労政審)にかかっている「労働者派遣法」の改正案である。これはいわば、派遣会社(派遣元)が雇っているスタッフをメーカーなど派遣先に送り込んで働かせる際のルールである。  厚労省担当の全国紙記者が解説する。「正社員が不安定な派遣で置き換えられないように(常用代替防止)、これまで、派遣は最長三年とするなどの規制を設けてきたが、法改正によってそれを取り払い、何年でも派遣を使えるようにしようとしている。そうなれば、正社員から派遣への常用代替が進み、生産現場の担い手のほとんどが派遣、ということにもなりかねない」。  一九八五年に制定された労働者派遣法では、「派遣は例外的な働き方」とされてきた。九九年に派遣が使える業務が原則自由化し、二〇〇三年改正で製造業にも解禁されて以降も、「専門二十六業務以外は最長三年」という縛りを設け、三年以上使うなら直接雇用を促すしくみになっていた。  特に〇八年のリーマンショックの際の「派遣切り」で、住み込みで働・・・