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経済

サーベラスがついに日本撤退か

衰えたハゲタカに「金欠」説

2014年2月号

「事実上の日本撤退が秒読みとなってきた」(メガバンク幹部)との観測がもっぱらだ。  日本企業の死肉を次々と食い漁り、「ハゲタカ」の名を欲しいままにしてきた米投資ファンド、サーベラス・キャピタル・マネジメントがここにきて「出口戦略」を一気に加速させている。  今年一月十四日には二〇一二年以来、経営方針などを巡って泥沼の抗争劇を演じてきた西武ホールディングス(HD)の後藤高志社長ら経営陣と「和解」し、早期の株式再上場に向けて手続きを進めることで合意。発行株の五五%を握る国際興業についても、関係筋によると、同社社長で創業家一族の小佐野隆正氏が実質支配する国際興業HDに近く保有株のすべてを売却して経営から手を引く方針だ。  これら二社のイグジットが完了すれば、サーベラスの残る日本での投資先は「いずれもごく小規模の案件だけ」(サーベラス・ジャパン関係者)。金融筋の間では「あこぎなビジネスに手を染め過ぎて、日本ではもはや誰も相手をしなくなり、新規の投資先を見つけられなくなってやむなく引き払うことにしたのでは……」(あおぞら銀行幹部)との見方も飛び交う。 「再建」とは名ばかり・・・