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政治

無能ぞろいの「自民党国対委員会」

国会を「見世物小屋」にした重罪

2015年10月号

「国権の最高機関」という神々しい言葉とは対極的に、立法府はぶざまな見世物小屋と化した。政府、与党が安全保障関連法を成立させた先の通常国会。そこには、非力な野党の上にあぐらをかく安倍晋三首相の一強体制で劣化した自民党国会対策委員会の機能不全が色濃く反映されている。  多数派の意見を基本としながら、少数派の考えを尊重してすくい上げてきたのが、かつての自民党の「国対政治」だった。もちろん、「談合の温床」という批判はあったが、与野党が子どもの喧嘩のようにただ正面から激突して多数派が何でも押し切るなら野党など要らない。与野党の接点を見いだしていく国対の機能が衰弱していけば、独裁的な政治の暴走にますます歯止めがかからなくなる。 安倍官邸が「国対外し」画策  自民党国対の頓珍漢な対応やちぐはぐさの一端を振り返ると、安保法案に強い逆風が吹き始めたのは、衆院憲法審査会が六月四日に実施した参考人質疑だった。この日、国会に招かれた自民党推薦の長谷部恭男早稲田大学教授を含む三人の参考人全員が「憲法違反だ」と断じた。自民党の佐藤勉国対委員長は自民党推薦の学者までもが違憲を唱えると・・・