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WORLD

習近平の危険な「軍事至上主義外交」

核戦略で米国との「対等」を目指す

2014年2月号


 中国軍も縁起を担ぐのだろう。数字の「一」にこだわって一月に新兵器の最初の実験をするのが恒例となっている。今年は一月九日に新型の宇宙兵器の発射実験を行った。「ハイパーソニック・グライド・ビークル(極超音速滑空ミサイル)」と呼ばれる最新兵器だ。これを速報した米国の軍事情報メディア「ワシントン・フリー・ビーコン」によると、米軍はこれに「WU―14」のコードネームを付けた。中国国防省も実験を認め、「自国内でどのような科学実験をしようと勝手だ」との声明を出した。

 WU―14は、宇宙空間から敵地に音速の数十倍というスピードで滑空して突入し、核爆弾を投下する次世代兵器だ。米国が開発中の「HTV2」はマッハ二十を記録したが、まだ完成していない。技術と予算の壁にぶつかっている米国とは対照的に、中国の軍事技術は驚くべき速さで進歩している。




経済合理性より軍事合理性で動く

 もし中国のWU―14が先に完成すれば、米国の核ミサイル迎撃システムは無力化し、オバマ大統領がロシアと中国・・・