三万人のための情報誌 選択出版

書店では手に入らない、月刊総合情報誌会員だけが読める月間総合情報誌

経済

《企業研究》JA共済連

「内憂外患」で存亡の危機

2014年3月号


 四月二十二~二十三日にオバマ米大統領が来日する方向で調整が進む中、環太平洋経済連携協定(TPP)交渉は一層難航している。「聖域」とされた農産物五項目を守り切れるかが焦点だと報道されているが、農業協同組合(JA)グループにとってより重要なことは、「JA」という組織自体を守ることだ。そのためには世界最大級の保険組織である全国共済農業協同組合連合会(JA共済連)を温存することが、究極の課題となる。

 昨年五月二十三日、JA共済連は、損害保険の雄、東京海上日動火災保険と連名で、不可解なプレスリリースを報道各社に配布した。「包括的な業務提携に向けた協議を開始する」という内容だが、具体的な中味はゼロ。「二〇一四年三月を目途に合意を目指す」としているだけで、協議が決裂する含みさえ残した。なぜ、このような中途半端な公表を急いだのか。その背景には、TPP交渉、農業政策の転換、多国籍企業の戦略、そして根本的には農村人口の減少など、JA共済連を取り巻く内外の環境が激変し、生き残り策の着手にもはや待ったなしの状況になっていることがある。


{・・・