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経済

《クローズ・アップ》進藤孝生(新日鐵住金次期社長)

旧住金「排除」人事の象徴

2014年3月号


「サプライズとまではいかないが、意外性の人事」。鉄鋼業界幹部のひとりは新日鐵住金の社長交代をこう評する。友野宏社長が代表権を持つ副会長に上がり、進藤孝生副社長が社長に就任する。二〇一二年十月に新日本製鐵と住友金属工業が合併して、新日鐵住金が誕生してからわずか一年半。社長が代わるにはあまりに早い印象がある。巨大企業合併にありがちな社内調整には双方の出身の幹部が自社出身者をうまくなだめ、社内対立を防ぎながら、新会社に溶け込ませるプロセスが必要だからだ。「新体制は合併から最低でも二~三年」というのが経済界の一般論だ。

 なぜ、早期の新体制となったかは一目瞭然だろう。宗岡正二会長は残留し、友野社長だけが現ポストをはずされ、棚上げされる。宗岡会長、進藤次期社長ともに新日鐵出身で、旧新日鐵と旧住金が会長、社長を分け合う・たすき掛け・は早くも終了した。しかも、会長がCEO(最高経営責任者)、社長がCOO(最高執行責任者)という権力の分散を解消、社長が実質的にCEO兼COOとなり、社内権限は社長に集中される。旧新日鐵の天下である。

 どんな理屈を・・・