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社会・文化

存在意義失った「スポーツ記者」

全国紙「五輪記事」の惨憺

2014年3月号

「共同のコピーのような記事ばかり。こんな五輪報道を続けるなら記者の派遣を減らして、共同に戻ればいい」  読売新聞の運動部OBはこう語る。朝日新聞と読売新聞が、スポーツと外信の共同通信配信契約を打ち切ったのはロンドン五輪が行われた二〇一二年の春。このOBは「直後のロンドン五輪報道では、慣れないためか以前との違いがあった」と語るが、約二年後には元の紙面に戻ったのだ。 「今のままの運動面なら、なくしてもいい」  このOBはこう言い放つ。これは何も、読売や朝日に限った話ではない。毎日新聞や産経新聞も含めて一般紙の運動面の質の低下が目に余るという。ネットがこれだけ発達した昨今、わざわざ翌朝のスポーツ面を開いて読む読者は、新聞だからこそ得られる情報を求めているが、それがない。この原因は記者の劣化に帰結する。 不勉強な記者ばかり 「あまりに競技のことに不勉強で驚かされる」  今回のオリンピックで取材したスポーツライターはこう語る。囲み取材、記者会見で新聞社の記者から出る質問は「いまの気持ちは?」というレベル。スキーであれば、本人の調子以外にも・・・