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社会・文化

知る権利脅かす「報道協定」

権力の情報統制に従順な「記者クラブ」

2014年5月号

 安易な「報道協定」がはびこり、権力による情報統制を許すばかりか、記者の劣化を招いている。報道協定とは、当局の要請に従って記者クラブ加盟社が横並びで報道を見合わせることである。

 本来、報道協定は誘拐事件でしか許されない。日本新聞協会は「誘拐報道協定」について詳細に内容を定め、これを認めている。一九六〇年に発生した誘拐事件で報道が過熱し、結果として犯人による人質殺害に繋がったことを契機に、人命優先の立場から検討された。初めて結ばれたのは、六三年の有名な「吉展ちゃん誘拐殺人事件」だ。警察当局による事実上の報道統制であり海外ではほとんどみられないというが、人命優先というお題目の前に異論はほとんど出ないだろう。

協定を安易に受け入れる記者

 問題は、これ以外の「協定」が日常的にさまざまな記者クラブで結ばれていることだ。当局による「縛り」とも呼ばれ、報道が操作されている。昨年末、興味深い二つの報道協定が東西のまったく異なる記者クラブで結ばれていた。
「十二月、大阪府警で『黒板協定』で縛りがかけられていた」・・・