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経済

日本の原油価格は 下がらない

米国シェール革命の恩恵は届かず

2014年5月号

 近年、世界のエネルギー専門家の注目を集めてきた「シェール革命」によって、米国は二〇一三年に石油と天然ガスの生産量合計でサウジアラビア、ロシアを抜き、世界最大のエネルギー生産国に躍り出た。米国は百五十年を超える石油産業発祥の地であるとともに、一九七〇年には日量一千万バレルという世界最大の原油生産国であったが、その後、原油生産量は減退の一途を辿り、〇七年には天然ガス液(NGL)を除いた原油生産量は日量五百万バレルまで減少、米国の資源枯渇論が喧伝された。しかし、シェール革命によって、再び米国は世界最大のエネルギー業界の覇権を取り戻したのだ。  米国におけるシェールオイルの生産量は一四年に入り日量三百万バレルに達し、いまやシェールオイルの輸出が政府と石油企業において真剣に検討される段階に入っている。国際エネルギー機関(IEA)は、一三年後半に予測を二年前倒しし、一五年には、サウジアラビアを抜いて、米国が世界最大の原油生産国になると見通したが、この影響は計り知れない。世界のエネルギー需給が地殻変動を起こし、国際原油市場の正常化、原油価格の沈静化、石油輸出国機構(OPEC)による一極支配の・・・

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