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経済

《クローズ・アップ》原田泳幸(ベネッセホールディングス次期会長兼社長)

「優良銘柄」に喰いついたペテン師

2014年5月号

「転職があるとは思ったが、実際よく受け入れる会社があったものだ」。日本マクドナルドのある中堅幹部は、首を傾げながら呟く。過去にアップルジャパン代表取締役社長や日本マクドナルドCEOを歴任した原田泳幸氏が六月二十一日付でベネッセの会長兼社長に就任することが三月二十七日、同社から発表された。「日本マクドナルドホールディングス取締役会長との兼任だが、九九%はベネッセに集中する」(原田氏)のだという。

 同氏が代表取締役として就任するのは上場会社で持ち株会社のベネッセホールディングス。その下に事業会社としてのベネッセコーポレーションがある。同社は業界でも「優良銘柄」として知られ、就職先の人気ランキングでも常に上位だ。なぜこの人事が起きたか。同社は福武書店として辞書や学習参考書を出版していた当時から徐々に教育サービスに重心をシフトさせ、ペット関連、介護等を含めたサービス業全般に事業を多角化してきた経緯がある。売上高四千五百億円のうち「国内教育」が五六・四%。「シニア・介護」が一六・四%である。一方、第二の柱にしたい「海外教育」は僅か二・九%で、しかも赤字。海外進出で同社は後・・・

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