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経済

「円高株安」に 狙いを絞る投機筋

米国の「安倍嫌い」が契機に

2014年6月号

「日経平均は一万四千円をもう少し割り込んだら、昨年の金融緩和後の最安値一万二千四百四十五円が見えてくる。場合によってはそのラインも切るかもしれない。たとえば、一万一千円台とか……」  なんとも物騒な見通しを語るこの大手ヘッジファンドの運用担当者は、日本の株安には十分に理由があると力説する。第一は、日本の経済状況が巷の楽観論をよそに、実体はずっと悪いというものだ。 「JMMA(日本資材管理協会)の製造業PMI(購買担当者指数)の最新四月の値は四九・四。メジャーな統計とは言えないが、景気判断のカギとなる五〇ポイントを割り込んでいる。この水準は二〇一三年三月以来で、四月の鉱工業生産指数もマイナス一・四%予想だ」  やたらと日本経済の動向に詳しい理由を質すと、「五月の中間決算を経て、十一月の本決算までに手持ちの日本株を持ち続けるか売却するかが、多くのヘッジファンドにとって大問題だ。そこでいろいろ情報ソースから日本の景気を調べている」という。  たしかに街角景気も先行き見通しは悪く、「日銀短観」では今年度の売り上げ増加はわずか一・一%と前年から三%減り、経常利益率は悪化予・・・