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アフリカの「癌」となったリビア

武器とテロをばら撒く「破綻国家」

2014年6月号

「ハフタルとは誰だ?」。聞き慣れない名前にウオッチャーたちが一斉にパソコンを叩いたのは、今年二月。ハリーファ・ハフタル退役少将(六十五歳)が「リビア国軍の重要拠点を制圧した」とテレビ発表したが、実際は兵のひとりも、戦車の一台も動いていなかった、という事件が伝えられた時だった。「普通の国」であれば、このようなクーデター失敗は致命的であり、文字通り処刑されるか、政府軍に囚われて終身牢獄暮らしとなるのが通例である。  しかし、政府軍とて全部で一千七百余に及ぶという武装私兵集団の一角に過ぎないレベル、という現在のリビアにおいては、これを処罰できるほどに卓越した権力は不在のようだ。五月十六日、ハフタルの名は改めて轟く。東部の主要都市ベンガジでハフタルの手兵が政府軍参謀本部に属するとされる兵力を攻撃、市内各地で行われた戦闘で四十六~七十九人(複数情報あり)の死者と百人を超える負傷者を出したのだ。さらにその二日後、彼らは首都トリポリの国民議会議場を襲撃、議員や暫定政府幹部はこの攻撃を予知して避難していたため大きな人的被害は起きなかったものの、「クーデター分子」と政府側が呼ぶハフタルのグループの・・・