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WORLD

「炎上間近」のレバノン・ヨルダン

戦乱の中東「ドミノ倒し」は続く

2014年7月号

 中東の国々の液状化が加速している。国際テロ組織アルカーイダに源流をもつ「イラクとシリアのイスラム国(ISIS)」が国境を越えて支配地域を広げているのは、国家再編の序章に過ぎない。イラク戦争とシリア内戦の津波は、比較的安定していたヨルダン、レバノンにも押し寄せ、国家の構造を根底から揺るがしている。ティグリス、ユーフラテス両川から東地中海にかけての「肥沃な三日月地帯」は、諸勢力割拠の戦国時代に入った。  ISISのイラク・モスル制圧が国際的関心を集めていた六月後半、周辺地域の動きも急を告げていた。シリアとレバノンの国境地帯では、激戦が勃発した。山間の保養地、シリア・ランクスでは、今春この町を制圧したアサド派勢力に対して、反政府派が猛攻を仕掛け、守備隊主力のシーア派武装組織ヒズボラ民兵に多数の死傷者が出た。冷涼な気候と果樹栽培で避暑客を楽しませてきた町は、凄惨な市街戦の舞台と化した。  シリアとヨルダンの国境近くの難民キャンプでは、シリア軍機が現れて「樽爆弾」を落とし、多数の死者が出た。難民に潜んで、政治・軍事工作を行う「スリーパー」が標的だった。 シリア難民が人口バランスを一変・・・