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社会・文化

惰眠を貪る「東京地検特捜部」

巨悪の高笑いが聞こえる

2014年8月号

「世間から『なるほど』と思ってもらえるような事件を、適正に処理したい」  昨年七月五日に東京地検特捜部の部長に就任した、山上秀明はこう抱負を述べていた。それから一年余り、特捜部が手掛けた事件はいくつかあるが、世間が「なるほど」と思うようなものはなかった。  四年前、証拠改竄で大阪地検特捜部の検事が逮捕されたことに端を発した一連の検察不祥事以降、「日本最強の捜査機関」と呼ばれた東京地検特捜部はすっかりおとなしくなった。検察改革が進む中で、特捜部の存在が変容している。検察・法務官僚に都合のいい偽装改革によって喜ぶのは誰か。 特捜部以外は「焼け太り」 「P担は発表記事を淡々と書いているだけで暇そうだ。別のところに応援に回されることも多い」  全国紙社会部記者はこう語る。P担とは検察担当記者のことだ。記者の忙しさは、取材対象の動きを反映する。特捜部が事実上の開店休業状態であることを如実に物語っている。 「独自捜査を行う直告班が水面下で動いているようなこともなさそうだ」  この記者はこう続けた。いわゆる「特捜捜査」に批判が集まり、一時は解体・・・