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経済

低迷サムスン電子の思わぬ「深刻度」

「巨大模倣企業」は凋落の本番に突入

2014年8月号

「あまり良くないだろう」  韓国サムスン電子の李相勲CFOは六月、「四~六月期の業績見通し」の感触について記者団の前でこう述べ、布石を打っていた。だが、七月に発表した業績見通し(暫定値)は、その予想をさらに超える低迷ぶりだった。  サムスン電子が七月八日に発表した第2四半期(四~六月)業績見通しは、売上高五十二兆ウォン(前年同期比九・五%減)、営業利益七兆二千億ウォン(同二四・五%減)となった。3四半期連続の減益であり、営業利益は二年ぶりの低水準だ。背景として同社は「スマートフォン市場全体の成長鈍化のほか、中国や一部欧州市場での競争激化に直面」したとしている。だが、市場の飽和は理由にはなるまい。アップルが七月二十二日に発表した今年四~六月期決算は六%の増収、一二・三%の増益だった。では、サムスンの実に九年ぶりとなる「減収減益」の理由は何か。 「カリスマ経営者」李健熙会長の体調不安説で、盤石のグループ経営にも不安の兆しが見え始めているとの指摘も喧しい今、その足元ではさらに深刻な構造的問題がいよいよ露呈し始めていることを「数字」が冷徹に示している。 あらゆる点で中国メーカーが有利・・・