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社会・文化

劣化止まらぬ「東京国立博物館」

ずさんな展覧会だらけの「裏事情」

2014年8月号

 首都にある博物館はその国の「顔」だ。ロンドンの大英博物館しかり、パリのルーブル美術館しかり。帝政ロシア時代の首都サンクトペテルブルクにあるエルミタージュ美術館にしても「ナショナルミュージアム」と称するに相応しい貫禄と中身を兼ね備えている。  翻って我が国の場合、上野の東京国立博物館(東博)がこれに相当するはずだが、とても大英やルーブルと並べられるようなものではない。最近では、愚かな商業主義に拍車がかかり、内部では醜い出世争いまで起きているという。 メディアに頼りきり  六月の下旬から七月にかけて、東博には長蛇の列ができた。「台北 國立故宮博物院―神品至宝―」と銘打った特別展に人が押し寄せたのだ。故宮博物院の三大至宝のひとつ、初めて台湾外で展示された「翠玉白菜」を見るための待ち時間は三時間を超えることも常態化し、入場者数は開催十日目で十万人を突破した。しかし、目玉であった白菜の展示が七月七日で終わると、客足はガクンと落ちた。それまで一日平均一万四千人だったものが二千人にまで減ったのだ。実は、白菜の展示期間中も特別展の本会場である平成館は待ち時間もなくスム・・・