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輸入食品に安全を期待するな

高橋 五郎(愛知大学 国際中国学研究センター所長)

2014年9月号

―中国から輸入される食品の安全性が問題となっています。

 高橋 「またか」という感想しかない。これは現代の日本人が口にしている食品全体の構造的な問題に起因しているため、今後も起きるだろう。中国人の衛生観念や品質管理に問題があるという指摘があるが、それは正しくない。原材料となる農産物の生産から最終的に私たちが口にするまでのあらゆる段階に危険性がある。これは中国だけに当てはまる問題ではなく、別の国に生産を移管しても変わらない。極論すれば日本国内で生産、加工している場合でも同じことが起きるだろう。


―根本的な問題はなんですか。

 高橋 私は「モジュール化」と呼んでいるが、食品の正体が一般人にはわからないものになっている。パソコンに例えれば、使っている人は機械の中身はわからない。仮に分解してもそれぞれの部品が何を意味するのか知っている人はごく少数だ。これと似たようなことが食品でも起き・・・