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経済

JETRO 「企業支援事業」の醜悪

アジア各地で税金を「垂れ流し」

2014年9月号

 経済成長の続く東南アジアや南アジアなど新興国への進出を考えている小規模企業を対象に、二〇一三年から鳴り物入りで始まった日本貿易振興機構(JETRO)の「専門家による新興国進出個別支援サービス(専門家派遣事業)」。公募で選ばれた「専門家」を企業に派遣、各種相談に乗るというのが事業の骨子だ。予算の関係で当初一千件だった申込枠数も一四年には一千五百件に拡大され、一五年三月まで継続されることが決まっている。ところが、この事業の評判がすこぶる悪い。「専門家を頼んでも素人ばかり」「お手盛りの外部委託で税金の無駄遣い」と散々だ。制度を利用した企業からは、「何の役にも立たない馬鹿げた事業」との非難が沸き起こっている。 ゴルフ仲間や飲み仲間を斡旋 「〝公募〟と称しておきながら、これは(本部の)理事推薦案件だとか、こっちは事務所長案件だとか無理やり押し込んできて、実際の公募選考は大半が骨抜き。本部の幹部が駐在員だった時代のゴルフ仲間や飲み仲間を斡旋してきて、よろしく頼むと言われれば、現場としては断れませんよ」  こう訴えるのは、東南アジアにあるJETRO事務所で「専門家」・・・