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経済

「日本株高」長くは続かない

「売り時」探るヘッジファンドの思惑

2014年10月号

 ヘッジファンドが日本株に戻ってきた。円安の急進展につられて、二〇一二年の民主党・野田政権解散直後から始まった「円売り・日本株買い」の再現を狙って、「夢よ、もう一度」というわけだ。米国の量的緩和縮小(テーパリング)が十月に終了するのに、チープマネーは当面続くとの観測が強まった上に、日本の年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)への期待も高い。ただ、アベノミクスへの評価は依然として厳しいだけに、今回の外国人買いは、十一月から十二月初めにもピークに達するおそれもある。 「円安・日本株買い」は苦肉の策  今回も仕掛け役はヘッジファンドだった。九月第二週。午後の取引で、「一ドル=一〇七円」の心理的壁があっさり破られた。 「日本時間の午前四時~五時の取引量が少ない時間帯だよ。おまけに、常に注目されるシカゴ為替市場。ヘッジファンドの常套手段だ。しかも、ドルの買いオプション(コール)が重用されている。ヘッジを伴うのではなく、アウトライトだ」と、大手ヘッジファンドの運用担当者が言う。アウトライトとは、短時間に反対売買をしない取引で、先行きの円安を確信したドル買いである・・・