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社会・文化

サイバー「無防備都市」東京

土屋 大洋(慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科教授)

2014年10月号

 ――サイバーセキュリティ基本法が臨時国会で成立の見込みとなりました。

 土屋 ようやくか、と思う一方、これはスタートに過ぎない。サイバー攻撃に対する日本人の危機意識は不十分だ。体制作りも遅れており、サイバー防衛を担うインテリジェンス機関がないことが致命的だ。主要国はインテリジェンス機関がサイバー・セキュリティを所管している。日本にはそのカウンターパートがなく、インテリジェンス機能のない内閣官房セキュリティセンターもその任に当たることはできない。東京という超過密都市が狙われれば被害は甚大だ。


 ――具体的にどこが攻撃に晒されてどのような被害が出るのでしょう。

 土屋 銀行や企業くらいならまだましで、制御システムが攻撃されインフラが狙われることが怖い。近年の制御システムは、専用システムの上にウィンドウズを載せていることが多い。ネットから遮断されていると言いながら、ウィンドウズの・・・