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政治

《土着権力の研究》神奈川県 藤木幸夫

菅義偉と昵懇の港町横浜のドン

2014年10月号

 年間コンテナ取扱量二百八十万個余り、貿易高十兆円と国内有数の規模を誇る横浜港は一八五九年(安政六年)の開港以来、成長を続けてきた。港に引きずられるように地元横浜も発展し、現在の人口は三百七十万人を超え、日本最大の市町村となった。

 神奈川県全体人口の三分の一を占める県庁所在地横浜市は、東京からほど近い「おしゃれな港町」という印象とは裏腹に、時代錯誤な権力者が居座り、神奈川のドンとして君臨している。横浜港運協会会長の藤木幸夫だ。

「田岡一雄氏を尊敬している」

 藤木が公言しているとして、よく引き合いに出される言葉だ。

 田岡とは言わずと知れた日本最大の暴力団山口組の三代目組長だ。藤木は自著『ミナトのせがれ』でも田岡との交流を描いている。現在は経済人として振る舞っているが、その権力は「強面」を背景にしている。

暴力団の影がちらつく

 藤木の父、幸太郎は沖仲仕を統率する立場にあった。地元の県政ウオッチャーが語る。

「藤木の父・・・