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政治

《罪深きはこの官僚》二川一男(厚生労働省医政局長)

医療事故調制度で 二度も「大失態」

2014年10月号

 六月に改正医療・介護法が成立し、来秋からスタートする予定の医療事故調査制度をめぐり、担当の二川一男・厚労省医政局長に批判が集まっている。二川は一九八〇年入省の事務官。今夏の安倍晋三首相肝いりの人事で、従来、医系技官の最高位であった医政局長に抜擢された。次の事務次官を唐澤剛・保険局長と争う立場だ。

 医療事故調査委員会は、医療事故が発生したときに、その真相を究明するための仕組みだ。趣旨に反対する者はいないが、いざ制度設計となると、関係者の利害が交錯する。遺族は、医師の責任を追及し厳格な処分を求めたい。弁護士は税金で医療事故の原因を究明してもらい、民事訴訟の証拠に使いたい。医師は真相究明だけで、責任追及は回避したい。厚労省は医療事故調の調査結果を行政処分に用いて医師の統制を強めたい―。彼らの間で合意が形成できず、長年にわたり、揉めてきた。

 六年ほど前、厚労省は「医療安全調査委員会設置法案(仮称)大綱案」と呼ばれる素案を発表した。この時に記者会見をしたのが、当時は医政局総務課長だった二川だ。この案を強行すれば、医療現場の大反発を受けるのは必至だ・・・